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2005年12月 4日 (日)

イルカ

イルカはわたしたちを癒してくれる。イルカの知能がすぐれているからといって、人間なみに進化することをねがってはいけない。イルカにはイルカの進化力があって、それをこえることはできないからである。

以下は 加納眞士 癒すこと癒されること   第7章アースヒーリングからの抜粋。

~~~~~~~青の惑星の癒しの使者~~~~~~~~~~~

フロリダの南端、さんご礁の島々のつらなるキースの海。

実はキーズを訪れた目的は、グラッシーキーにあるドルフィン・リサーチ・センターの見学のためだった。そこでイルカと一緒に身体や精神に障害を持つ子供達のヒーリングセッションを行っていることを聞いたからである。

スタッフは全員がボランティアでT-SHUTSにジーンズのショートパンツ姿というラフな格好である。これが日本だったらどうだろう。外国から予約をいれてきた客に対して、スーツを着て出迎えるであろう。

国や習慣の違いもあるが、イルカという水の精霊といっしょに暮らしている、何も飾り立てる必要のない人たちと文明のフィールドの枠の中にいる私達との違いのような気がした。

~~~エレン~~~

その日はアメリカのABCテレビが撮影にきていた。

エレンは7歳の女の子で、表面的には健康に見えた。だが、強度の自閉症で感情を表さないという。

撮影は両親の承諾のもとで行われているようだった。自分の子供がそれで癒されるなら、また、子供と同じような病気で苦しんでいる人たちの助けとなるならと、語っていた。

博士はエレンをそっと抱きかかえてみずからプールの中に入っていった。そして待った。

すると、2頭のイルカが現れた。イルカたちは、ゆっくりと博士とエレンのまわりを泳ぎはじめた。エレンが彼らを恐れているのを敏感に察知しているようだった。

無理もない。生まれてはじめてイルカを目の当たりにしたら、その大きさに驚いてしまう。エレンの博士にしがみついている手がこわばっていた。緊張して力が入っているのだろう。岸辺では母親が心配そうに見ている。

そのうち、一頭がすうっと近づいてエレンに鼻をすり寄せた。博士はエレンの手をとって何かを語りかけている。が、小声なのでこちらまでは聞こえてこない。どうやら「さわってごらん」と言っている様だった。それでもエレンは怖がって手を出そうとはしない。

すると、もう一頭がエレンのそばで優しく鳴いた。 「クルルルル・・」

エレンはびくっとしたが、その「びくっ」は、先ほどまでの感情とは変化しているようだった。彼らが自分を脅かす存在ではないらしいことを本能で知ったようだった。

最初の一頭がまた鼻を近づけてきた。今度は博士はエレンの手をとろうとはしなかった。エレンの好きにさせておいた。エレンはじっとイルカを見ていた。もう一頭がまた短く鳴いた。「さわってごらんよ」とせかしているような声だった。エレンはそっと手をのばした。そこにイルカが自分から鼻を伸ばしてきた。エレンは思わず手を引っ込めてしまった。だが、今度はその顔に恐れの感情は浮かばなかった。博士は辛抱強く待っていた。博士は知っていたのだ。自分がこの少女に今してあげられることは待つことだけあることを。

エレンはそれからも自分から手を出そうとはしなかった。それでも、イルカに触った手をじっと見つめていた。イルカたちは、今日はここまでというように去っていった。午前中のセッションはそれで終わった。ぼくは聞きたいことが山ほどあった。だが、母親はもっと知りたかっただろう。それでも彼女は黙っていた。ぼくも何もきかないことにした。

~~~アラン~~~

午後はアランの番だった。

アランは8歳の男の子で、生後半年で高熱のため全盲になり、全身小児麻痺にかかっていた。

アランは最初母親の腕の中で泣き喚いた。未知の恐怖が彼を支配したのだ。母親はなだめるように彼の頬をなで、キスをして抱きかかえた。スタッフが母親の横からそっと手を添えた。

博士は「さあ、アラン怖がることはないよ。今から友達を紹介するから」と笑いながら水中で待っていた。博士がアランを抱きかかえると、アランは泣き喚いた。知らない人の触感と母親から引き離された孤独感、そして、水の冷たさのためだった。

アランは動かない手足を必死に動かして抵抗した。博士はその大きな体でアランを優しく、しかし、しっかりと抱きしめていた。岸辺からは母親がアランに声援を送っていた。

今度は1頭のイルカが現れた。ここでは面白いことにイルカの自主性を尊重する。

現れたイルカは例によってアランの周囲をゆっくりと回り始めた。ネイサンソン博士によると、この周回は、人間の医者の触診と同じようなもので、水に放射される人間の波動で、その人間のどこが病んでいるのかがわかるのだという。それがエレンのように精神の障害であっても、水に放射されるエネルギーで敏感に読み取るのだと言った。

イルカがアランの身体にすり寄ってきた。先ほどのエレンのときには、距離をもって近づいてきたのに、アランのときには、いきなり身体をよせてきたのである。まるで、アランが目が見えなくて、触感が彼の主要な感覚であることを見抜いたようである。

アランは、その違和感に驚いて、さらに激しく泣き喚いた。それでもイルカはじっとしていた。身体をすり寄せたまま動かなかった。博士も黙って待っていた。アランは泣き止まなかった。イルカはすっと身を引くと、また周回を始めた。泣きむずかる子供をどうやってあやそうかと考える老医者のようだった。

今度はイルカがアランのすぐ側でお腹を見せた。イルカがお腹を見せるのは、相手に危害を加えない安心の表意である。

だが、目の見えないアラン少年に、それが伝わるのだろうか。

この世のすべては波動であると知っているぼくも、ともすれば「見えている」ことに囚われてしまう。「感じる」ことを大切にするのが、ヒーリングの基本である。イルカの行為は波動である。その波動を視覚という感覚をもたないアラン少年は、普通の人異常に敏感に感じるはずだった。アラン少年がふいに泣き止んだ。そして、何かを探すようにイルカのほうに手を伸ばしたのである。それまで、おろおろしていた母親が安心したようにイスに座った。

その変化は岸辺で見ていたエレンにも伝わったようだった。.彼女は黙って興味深げにその光景を見ていた。その表情には、何らかの意思が浮かび上がってきそうに感じられた。

そのときである。ふと自分の足元に気配を感じたぼくは、そこに3頭のイルカが集まっていることを知った。3頭ともお腹を見せてくれていた。一頭が「マァーっ」と鳴いたそしてもう一頭がぼくの不自由な左足に鼻を摺り寄せてくれたのである。ぼくは、自分の身体のことをスタッフにも博士にも言ってなかった。なのに、イルカたちは知っていたのだ。「癒されるべきは、あなたもだよ」と言ってくれているように思えた。思わず胸が熱くなった。

~~~ イルカヒーリング 完 ~~~~

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